Noと言えないゲイ(ゲイサークル見学の失敗談)
ゲイブログ仲間のTakatoさんが、嫌な相手からの性的干渉にはきっぱりとNoと言わないとダメだよ、という趣旨の動画を紹介していました。
動画シリーズ①。「全てにYESと言うよ」。 - 猫と恋人とTakato。
紹介されていた動画を見て、4年くらい前の自分の体験を思い出したので書いてみます。
ゲイサークルの見学に行ったときの話
ゲイの人たちが集まって、一緒になにかの活動をする団体を「ゲイサークル」といいます。
俺が知っている限りでは、大体のゲイサークルが以下のどれかのジャンルに当てはまります。(※あくまで俺が勝手に作ったジャンル分けです。)
- スポーツ系・・・バレー、ラグビー、水泳、フットサル、ダンスなど、何らかのスポーツの練習をするサークル
- 文化系・・・合唱、吹奏楽、和太鼓、料理、カラオケなど、スポーツ以外の特定の文化活動をするサークル
- イベント系・・・飲み会、バーベキュー、旅行など、いろいろなイベントを一緒に楽しもうという趣旨のサークル
- 組織・属性系・・・○○大学、○年生まれなど、特定の組織・属性のゲイが集まったサークル
30歳くらいのときに、ある文化系サークルの練習を見学しに行きました。
たいていのゲイサークルでは、サークルに入るかどうかを決める前に、見学という形で参加できるようになっています。
俺が見学に行ったサークルでは、2回ほど見学してから、実際に入るかどうか判断することになっていました。
1回目の見学では、特に何事もなく練習が終了。その日は特に飲み会などもないということで、すぐに帰宅しました。
そして2回目の見学の後、「今日はこの後、希望者で飲み会もやるんだけど、見学の方もよかったらどうですか?」と誘われたのです。
見学したサークルの様子はわりといい感じだったので、サークルに入る気マンマンだった俺は飲み会に行くことにしました。
飲み会では同じテーブルの人とそれなりに楽しく会話できて、特に問題もなくお開きの時間に。
そしてお店を出ると、一部の人たちが「2次会はカラオケ行きまーす!」と呼びかけていました。
しかし2次会は参加者がかなり少ないようで、多くのメンバーが駅へと向かう様子。
「カラオケは別に嫌いじゃないけど、まだサークルにあまり馴染めていないし、2次会は遠慮しておこう」と思って、俺も駅へ向かうメンバーと一緒に信号待ちしていました。
すると突然、左腕を誰かに強くつかまれました。それまでの人生で経験したことがないくらい強くつかまれたので思わず「イタタタタ」と声が出たほどです。
見ると、サークルの中心メンバーの一人であるAさんが俺の腕をつかんでいます。
「ヤシュウもカラオケ行こうよ!」
Aさんはそう言って俺の腕を強引に引っ張ってきました。
最初は「俺は帰ります」と言って帰ろうとしたのですが、何度も「行こうよー!」と言って引き止められたうえ、腕を強くつかまれていたので、あきらめてカラオケに行くことにしました。
腕が痛かったので多少ムカつきましたが、「これだけ強く誘ってくるのは、早くサークルのみんなと仲良くなってほしいってことなのかな…」と前向きに捉えていました。
カラオケボックスにて
2次会のカラオケに参加したのは、8~9人くらい。あまり広くない部屋だったので、かなりギュウギュウ詰めです。
俺の隣には先ほどのAさんが座っていました。カラオケが始まり、みんな自由に曲を入れて歌い始めます。俺も好きなハロプロ曲を中心に歌って盛り上がりました。
カラオケの最中、急におしりの辺りがムズムズし始めました。隣に座っていたAさんが、俺のお尻とソファーの間に手をいれて触っていたのです。
Aさんはサークルの代表ではありませんが中心メンバーの一人なので、練習や飲み会のときに俺とも多少の会話はしていました。
でも俺に好意をもっているような発言は特になかったので、「え?何で触ってるんだろう?」と思いました。
それにAさんはかなり太っていて俺のタイプではなかったので、触られて嬉しいという気持ちは全くなかったのですが、「まあ減るようなもんじゃないし、別にいいか」と思ってそのまま放っておきました。
しばらくそのままカラオケを続けていたのですが、急に触られているお尻の感覚が変わりました。なんとAさんは、俺の背中側からパンツの中に指先を突っ込んで、俺の生尻に触り始めたのです。
さすがにこれには驚きましたが、俺もそこそこ酔っていて、いちいち文句を言って変な空気になるのも面倒だと思い、触らせたままカラオケを続けました。
そしてカラオケが終わり、やっと帰れると思ったら、Aさんが「3次会行くよ!」と言ってまた腕を引っ張ってきました。
俺は断って帰ろうとしたのですが、Aさんにしつこく誘われて結局2丁目のゲイバーへ行くことに。
3次会のゲイバーに入ってみると、参加者はAさんと俺を含めてもたったの4人。 こじんまりとしたカウンター席のみで落ち着いた雰囲気のお店でした。
Aさんはよく話す人だったので会話には困りませんでしたが、会話中に俺とAさん以外の2人はサークル内カップルであることがわかり、なんとなく嫌ーな予感が。
深夜0時頃、俺たちはゲイバーから出ました。カップルの2人はお店を出てからすぐに歩いていってしまい、2丁目の路上に俺とAさんが残りました。
「じゃあ俺も終電で帰りますね」といって帰ろうとすると、Aさんが「もう終電がなくなったから、ヤシュウの家に泊めてほしい」と言い出しました。
「いや、うちは今散らかってて、とても人を泊められるような状態じゃないんで…」
「散らかってても気にしないからいいよ」
「でも本当に汚いですから無理です」
「じゃあタクシー代出すから泊めてよ」
「タクシー代出せるなら自分の家に帰ればいいじゃないですか。都内ですよね?それに新宿なら始発まで過ごせるところもあるだろうし」
俺はAさんをうちに泊めたくなかったので、何度も断りました。3次会のゲイバーでもAさんにお尻を触られたので、泊めたら強引にせまられるかもしれないと思ったからです。
それに当時は仕事が忙しくて、汚部屋というほどではないけど本当に部屋の中が散らかっていたので、人に見られるのが恥ずかしかったというのもあります。
そうして何度も断っていると、Aさんが突然「ヤシュウ!アタシを見捨てるの!?」を大声で叫びだしたのです。(当時はヤシュウとは別のニックネームを使っていたので、実際は別の名前です)
幸い、2丁目の中心部である仲通りから少し脇道に入ったところの路上だったので、周囲に通行人はあまりいませんでしたが、路上で突然叫ばれて俺は困惑しました。
「いや、見捨てるとかじゃなくて、泊めるのは無理ってだけです」と俺が断ってもAさんは何度も叫び続け、俺の断り方もどんどん雑になりました。
そして「アタシを見捨てるの!?」 「とにかく泊めるのは無理です」というやり取りを10回くらい繰り返した後、俺はAさんを無視して小走りで駅のほうへ逃げました。
その後
翌日、サークルの代表者に、入るのはやめておきますと連絡して縁を切りました。
ゲイサークルには変な人もいるけど、ちゃんとした人たちで構成されているサークルもあります。
この記事のサークルを見学するよりも前に、俺はゲイの人だけで活動している合唱サークルに参加していたこともあります。
そのサークルは基本的にまともな人ばかりでした。俺は1年くらいで辞めてしまいましたが、今でもいい思い出です。
当時はAさんに対する怒りしかありませんでしたが、後になって振り返ると、俺の行動も良くなかったというか、お尻を触られたときにはっきり拒絶していないのは問題だったと思います。
前回の記事に書いたように、20代の頃は身体的な問題でほとんどゲイ活動をしていませんでした。そのせいで全く恋愛経験がなく、恋の駆け引きとかマナー?みたいなものを知らないまま30代になってしまったのが元凶なのかな……
ゲイと身体的コンプレックス(成人の漏斗胸手術の話) - ヤシュウの部屋
俺と同じようにNoと言えないタイプの人は、冒頭で紹介したTakatoさんの記事を見てみてくださいね。